俺と紅白


アドベンチャーゲームを作りたかった。
AS(アクションスクリプト)をplayとstop。on位しか知らない俺。
参考書はすでに4冊。黄色いバイブルって名の本は4千円もしやがった。しかも上巻。
ついでに考えてあったシナリオを持ってきて、
俺はゲームと言う、複数形のFlashアニメーションへと入り込んだのだ。

挫折する。
絵が描けない。数時間かかって悩んで消す、やり直す。
分岐の話がどうにもツマラナイ。才能の無さを痛感する。
俺の製作スタイルを知っているか??
たとえば、RPGゲームなどをやり始めたら夜も寝ない。
外に出ない。飯を溜めて食う。部屋も片付けない。
心の片隅にもそれ以外の事柄は無い。
集中する。もう、人間的にダメだろって位に没頭する。
そう、それほど費やしてきたものが納得いかなかった時。
俺はFlashを止めてしまおうと考えていた。
俺のAS。アニメーションスピリッツは尽きていた。

サジさんの”ISI”を会社で見る。
ああ、天才は居るものだなぁと痛感する。
思った事をそのままつづり、彼女は作品として完成させている。
それは凄い事だし、とても悲しく思えた。
「彼女は知らなくて良い事まで見えてしまっているのかもしれないな。」
「いつか笑えるまで、全てを涙で洗い流して欲しいものだ。」と…。
身勝手な言い方だが、Flashと言うのはそれぞれの日記帳の様なものだなと思い出した。

イイアクセスを毎日見ていた。
そこには、毎週の様に宣伝Flashが掲載されていた。
紅白なんてものは2chネラー達のお祭りだろうから、俺には無関係だなと思っていた。
参加者の一覧が出された時、俺はサジさんの名を発見する。
「この野郎!最近連絡ねぇなと思っていたらこんな事してやがったのか!!」
公共料金サイトの閉鎖にガッカリとしていた俺は嬉しくて仕方ない。
「そうか、今もFlashは描いていたか…。」
そうして俺はFlashを起動する。
終わらせなきゃ、進めない。
それは俺の心情だし、『後悔先に立たず』これは俺の座右の銘だ。
「終わらせたい作品有り、参加を希望する。」
そんなメールで、俺の紅白は始まった。

何だ!このそこはかとなく知っている人達の名は!!
俺がその中に在って良いのか!?
そんな事はちっとも思わなかった。
同じ人間だし、作風は全て違うのだ。
そもそも俺は、俺の作品を作っている。
比べる必要なんてのは無いし、臆する必要も無い。
対戦と銘打っている紅白だったが、仲間だとしか思えなかった。
今でも思えるのは、皆が居たから俺はやれたのだと言う事。

『sage』すら知らないし、トリップってなんぞやって感じでした。
2チャンネルってのは怖い所って認識しか無かったよ。マジに。
だが、次々に伸びてゆくスレ。励ましの言葉。
どれ程、助けられたか知れない。ありがとう、この場でまた言いたい。
もちろん、アンチには多少なりとも苦しんだ。
(見ない方が良いよって言われたけど、そう言われると見るでしょ普通。)
一番辛かったのが、作品の再利用って事柄。
まぁ、俺のスタートからそうだったしそう言われるのは仕方ないんだがね。
丸っきりの新作じゃなきゃいけないってのは書いてなかったけど、
やっぱ、俺が見ても、名も知らない奴がリメイクで神聖な紅白に現れるのは不愉快だわな。

年末の連休は全てFlashに当てた。
昼頃に起きて、Flashを起動する。
ヘンシン男で決めていた事、グラデとアルファ未使用。
そして、全てをFlashのみで製作する事。
グラデとアルファを使わないのは、ムービーの再生速度を確保する為。
そして、Flashのみで作るのは、これが紅白Flash合戦だからだ。
下絵を描いて、スキャナで読み取り(この日の為に購入!)、レイヤーにおいて、
線ツールでなぞった。俺の汚い絵でも、鉛筆書き→線ツール書きと、
2回以上の線調整で、何とか見れる絵と成って行った。
時間はかかったが、一歩に至らないまでも、俺は進めていた。

朝5時までには、ファミレスへ居た。
メニューが変わっちゃって、肉が食えなくなるからね。それだけは守ってた。
仕事で手一杯の時ほど、俺はFlashを作りたいと思う。
そして、休みになると何もしなくなる。一向に進まない。
やりたい事が出来るとなると、俺は無性に眠たくなる。
コーヒーも3杯目となると、「お代わりどうですか?」とも言ってくれないのな。
芯をこぼし、頭をかき、消しゴムを削り、絵コンテ描きは続いた。
本来、絵コンテなんてのは描かない俺だが、
締め切りの恐怖が、俺を段取り魔へと変わらせた。
一日4カット。あと10以内で完成させなければ成らん。
どうにも、俺の胃を痛めつけた。
「時間が無い」それだけは理由にしたくなかったんだ。
やると決めて参加をしたんだ。
だから、俺は無理やりに周りの環境を変えてとにかく描いた。
やる気が無くても、やらなきゃならん!
それはとても良い経験になって、俺の中に今も在る。

12月26日公開。
俺は会社で校了作業中だった。
数日の徹夜作業。
それでも、スレッドをリロードする度に俺の鼓動は早まった。
結果は…。
それは語るまでもないかな。

リメイクでは終わらせなかった。
作品公開後に、それを言う人も無かった。
とにかく、俺はヘンシン男を終わらせた。
トータル1年かかった作品が、やっと終わった。
俺らしい、そして俺が望んだ作品へと仕上がった。
俺らしいとは、なんとも暗い作品と言う傾向にあるのだが、
作ってる自分はとても楽しんでいる。
なんとも臭い台詞ばっかりの作品となったが、
本気で、このカットにはこの言葉しか思いつかなかったんだ。
よくある設定だけに、それを当てはめてしまう人も多かったみたいだけど、
ヘンシン男はヒーローじゃない。どこにでも居る普通の男だ。
そして、どこにでもある、『変わりたい』そう願う少女。
絵や姿は、問題じゃないんだ。 問題は、奥底に何があったか。
俺は終始、俺らしい作品である事を願っていたし、
今後の命題、『人にはどう写るのか。』それに取り組む結果となった。

ヘンシン男、そしてMR3A、3Dアニメーションへと作り続けて来た俺は、
すでにメールを出している。
MR3Aを終わらせた俺は強く思った。
「こんな作品で俺は何を残せた?」
もちろん、苦労はしたさ。だが、それが俺には納得できなかった。
苦労した。これ以上は俺には作れないとまでに力を入れた。
だが、それに何の価値があろうか。
今見るに、MR3Aは恥ずかしくて仕方ない。
続編へと続く話なのだから(来年には作ります。)、
消化不良的な話なのは仕方ないとも思うのだが、
なんとも、負けた気になるのだ。

作品毎に、思う事。
もっと進まねばならんと言う事。
そして、それは俺をもっと表現せねばならんと言う事だ。
魅せ方・演出・絵・音と色々あるFlashアニメーションだが、
俺は、俺が見たい作品を作るのが楽しくて仕方ないのだ。
明るく笑える話なら、俺が作るまでも無くその道を得意とする人が居る。
暗くなるかもな!今度の紅白作品も。
まだ、シナリオ段階で、全体の1/10も出来てはいないのだけれど、
どうか期待して欲しい。裏切ってやるぞ。

紅白Flash合戦2003 作品名 『帰郷』
製作スタートだ!!