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日本の首都。東京都。”情報化社会” 今では使い古されたフレーズにも聞こえる。 人はそれに自分の価値を求め、人の価値を知ろうとする。 最先端とも言えるこの街にあって、俺は何になれるだろうか。 観光者? ただの勘違い男? 古臭い理想主義者か? 「では、何をしている人ですか?」 俺は、人に区別されるのが嫌いだ。 自分の価値は自分で決めたいと願う。 |
| 社会ってのは、それのみの姿を与えてくれる。 もちろん学校や、家庭。人間関係においては、俺はその存在は多角的で不安定であろう。 しかし、俺のいる社会ってのは、俺を判断したがる。 「何が出来るか。何をしたいと思うのか。何に適しているのか。」 多くの人がそこには溢れ、人は人としての判断では理解できない場合がある。 単純に俺の経験上、一日に接する人が多ければ多いほど、人は無関心となる。 人間の特定を頭にインプットする容量ってのがあって、その容量以上の人間は省かれる。 ”行動”でしか認識しようとしない。いや、できないのかも知れない。 新宿駅にて、出口にすら迷う俺。それこそキョロキョロとあたりを見回しているのだから、 はた目には”迷っている人”と分かり易いだろう。 ただ、そこに「何をしているのか?」と問う人は少ないだろう。 座右の銘が"一日一膳"である人が、 偶然にも10分早く待ち合わせ場所に到着しそうで、くだらない事に時間を潰そうと考えていたのなら、 「出口が分からないのか?」と話をしてくれるかもしれない。 "何をしている人物なのか" 全く分からない人に、改めて「何をしているのか?」そう問う事は、まれだと俺は感じている。 「だったら、俺は何をしに東京に来ているんだ?」 夏休みが3週間あって、給料日のすぐ後で、する事が無かったから。 例えばそれだけの理由でも、俺の性格なら、読めない字の書いてある船にも飛び乗るであろう。 宿の予約も取らず、帰りの切符も用意していない。 さらには、訪問したいと願っているweb制作代行の会社にすら、アポイントを取っていない。 やっと新宿西口の出口を見付け、本屋に舞い込んだ理由が、 「どんなweb会社があるのかリサーチ」だったりするのだから、 およそ社会人の行動では無い。もちろんスーツなどもカバンには入っていない。 偶然にも前日に上京した印度にも、何度となく問われた。 「何をしに東京に来たのか??」 俺はもちろん即答する。 「web制作会社を訪問し参考としたい。」 東京に向かう新幹線にて、すでに気付いていた事がある。 「それが必要と思うのか?」 そう問われたら、なんと答えようか。 幸いにもそれを問う人は、東京には居なかった。 |
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「新宿西口のネットカフェにいるらしいね。」 それだけが俺がここに居る理由だった。 ネットRPGにて、 よくパーティーを組ませてもらった桃白白さん。 訳も分からず始めたゲームにて、 同じく初心者として、話が通じた。 ”パン粉・桃白白・スカイビー”その面子にて 地下や森、洞窟などを探索するのが楽しくて仕方なかった。 |
| 男性の桃白白さんが、急に女の子キャラを使い出したある日。 ネットなので男性が女性のキャラを使うもなんら不自然ではない。 買い物に出かけた桃白白さんを待ちながら、街の木の下でパン粉と話していた。 スカイビー「なぁ、パン粉…。」 パン粉 「ん?」 スカイビー「俺、おかしいかもしれん…。」 パン粉 「どうしたんだい?」 スカイビー「最近、桃白白さんが可愛く思えてきたんだ…。」 パン粉 「…。」 スカイビー「男なんだよな…桃白白さん…。」 パン粉 「し、よ…。」 スカイビー「ん?」 パン粉 「同士よぉ〜!!!!!」 スカイビー「ぱっパン粉おぉぉお!!!!」 (熱く抱擁する2人) 話を戻そうか。その桃白白さんとの会話にて、 家出中のネット仲間がここにて、HPなどを見ていると言うのだ。 夜から、海ガメさんと印度との食事会の待ち合わせも新宿アルタ前。 新宿という地名が頭から離れなかった俺が、そう場所を決めたのかもしれないが、 海ガメさんも場所的に都合が良い様なので、 桃白白さんの働く青竜門と言う名の中華屋を食事会の場所と指定した。 実際にはその日、桃白白さんは働いてはいないのだが、 実際お会いするのもなんだか気が引けたので、 唯一、信頼できる店として、この場所を選んだのだ。 海ガメさん、印度との待ち合わせまでの2時間前。 2人の人にネットカフェの場所を聞いてみる。 幸いにも同じ場所を教えてくれたので、 新宿西口、ゲラゲラと言う名のネカフェにて、時間を潰す事とした。 それに理由なんて無い。 家出少女に万が一会ったとしても、俺に何が言えようか。 行方が知れずとなった時。方々のサイトを探索し、 あらゆる人にメールを出し、情報を集めていた。 だけれど、結果として"ただ、待つ事"しか、俺には出来なかった。 福岡と東京。遠くだからという訳じゃない。 ただ、俺にはそうするしか方法が見当たらなかった。 自分で言うのもオカシイが、俺は逆境から何とか立ち直った方だと思う。 だからこそ、自分に迷い、行き詰まる人を見ると、なんとかしてやりたいと思う。 実際には、何もするべきではなく、 ただ、そんな気持ちで何時でも迎える事が、重要とは感じている。 だから、このネカフェにて、声を出して探す事もしない。 ただ、ココに居る。そんな事実が欲しかっただけだ。 「何も出来ない自分」が嫌で仕方無かったから、 俺は意味も無く、新宿を歩いているのだと、 会えたなら、そうとだけは言えただろうが。 |
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ネットアイドルのサイトを見かけるも、 俺は気分を悪くする。 「自分を商品化する」行動も、余り好きではない。 もっとも一番の理由は、 その当事者本来の価値ってのが、 見た目だけに判断されてしまうメディアってのが、俺の気分を酷く害するのだ。 ネット上では、性別・容姿・年齢などは無視したい。 ささやかながら、それが俺の理想とする事。 |
| ま、その理想は他所に置いておくとして、海ガメさんは可愛らしかった。 よく気の利く、穏やかな話し方をする女性だった。 彼女のテキストなどを拝見し、その知性的な感覚に少なからずの好意と、 そして、どこかしら触れられないほどの繊細さを感じていた。 ま、そういった一面があると言うだけであって、それが全てとも思っては居ない。 実際に青竜門にて、フカヒレスープを勧めるあたりに、 少なくとも、そんな事柄をもって対応していた訳では無い 「俺と印度は多分、見た目は恐いハズだ。」 ジェントルメン的対応を心がけていたのだが、どうだろうか。 ネットを通してお付き合いのある人と、こうして実際に会うのが 本当に必要とは思えない。 確実な理由として、他の人が俺に持つイメージに、 左右されるのが、たまらなく嫌な事。 そしてその気分を、もしネット仲間が感じていたらと思うと、 やはり、不安で在るし、どうにもやりきれない。 その点においては、海ガメさんは安心できると思っていた。 もっと精神的な感覚で、俺は彼女を理解していたし、 それを望んでくれると、おぼろげながら、受け取っていたからだ。 だからこそ、こうしてお酒を飲みながら、雑談することが、 なんだか不思議な感覚。 ショットバーにて、2次会をしている時。 やっぱり、彼女は普通に女の子していて、 それにどんな対応していいのか分からない男2人。 印度と俺のくだらないののしり合いコントが時折、静かな店内に響く。 「ショットバーの横は風俗店かよ。狂った街だな。まったく。」 海ガメさんを見送った後、その狂った街も、そう悪くはないな。 そう携帯にメールを入れて、印度宅にて就寝させてもらう。 そう言えば、俺の印象などを聞いてはいなかったのだけれど、 12ラウンドフルに戦って判定負けでがっかりしている稲垣五郎似といわれているのだが、 やはり、北の国からの純あたりが似ているのであろうか。 |
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「九州人はやっばお酒よく飲むよねぇ!!」とは、社長のお言葉。そもそも、”福岡の人だから会おうと思った”とまで言われているのだから、俺は九州男児を演じ通さなければならなくなった。鰍vOXの皆さんの打ち上げにまで参加させて頂いた俺の頭の中では、ウッちゃんの"九州男児"が延々と「負けれんですたいっ!!」と言っている…。 |
| 生まれは長崎だが、18年間住んだ広島にて九州の人と飲みに行ったりすると、 「九州の人間は、酒入ると荒れて恐いなぁ」との印象しかなかった。 俺は酒には強い。しかも、いくら飲んでもも俺は顔に出ないたちだし、 何杯飲まされても、意識が無くなった経験とかが未だになかったりする。 だけれど、お酒ってのがそんなに美味いと思った事はない。 過去に一気のみ等をやらされたせいもあってか、 酒は自分のペースで、楽しく飲みたいと思うのだが、 6杯目のジョッキを焼き鳥でなんとか飲み干した頃には、 すでに10杯目を注文していたりする社長。 「負けれんですたいっ!!」偽九州男児skybee。精一杯です。 印度宅を後にして俺は、また新宿のゲラゲラにて超アメリカンのアイスコーヒーを飲み、 ”HP制作代行”とヤフーにて検索していた。 「どこからも連絡がなかったら、夕方の便で福岡に戻ろう。」 3〜5通のメールを出し、地下のゲラゲラでは地下のため携帯の電波が通じないので、 新宿の街を改めて散歩する事にした。 時に7月初頭。覚える限りでも最高に熱い日。 ただ、ぼーっと立っているだけでも汗が染み出してくる。 「何をやってるんだ俺は…。何を…。」 時間を潰そうと入ったゲームセンターを、 「そう言えば、ココは出張の時に市場調査で来た店だな。」 まさか、こんな形で再来するとは思っていなかったので今の俺をなんだか笑った。 「同じく社員旅行で来た福岡に今は住んでるじゃないか…。」 そんな事を思いぐるぐると、俺は新宿の街を歩いていた。 |
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「こんにちわっ!」 正直に言うと、俺はクラブ系の人間とは肌が合わないと思っている。それは意識の低い店にしか行った事が無いからかも知れないが、どうにも、下らなく見えてしまうのだ。なんだか…、現実逃避っぽく見えちゃうんだよね…。ま、相対するタイプだから、毛嫌いしてるだけだと、思うんだがな。 |
| 「じゃ、うちの会社。ちょっと見てく?」 ファミレスにて、色々とお話をさせて頂いた社長から、嬉しいお誘いである。 高田馬場駅から、少し歩いた住宅街。裏道の角を2回ほど曲がった先にある建物。 階段をパタパタと上がった先に、その事務所がある。 緊張したよ…。そりゃーねぇ。初対面の人が5人だよ。 どんな重要な会議でもアドリブでこなしてきた俺でも、ちょーっと貰ったアイスを落としちゃうくらい緊張致しました。 読み合わせって作業に参加させてもらって、プレゼンの大まかな仕様とか垣間見れた、貴重な時間。 あの会社のバルコニーから見た、東京の景色が、今でも思い浮かばれる。 こんな人達との仕事なら、楽しいかもな。そんな事を思える夕日がありました。 「急展開ですね!」 正にそのとおりですよSさん。 社長の飲酒ペースは衰える所を知らず。 ウーロン茶をウイスキーと分かりきった嘘をつく俺に、激怒です。 「それでも九州人か!」 そこまで言われると、こっちも負けてられません。 「Sさん、ビール俺にも!!」 負けれんですたいっ! ビールを流し込む俺には、正に急展開の一日だった。 一本の電話から、打ち上げに参加させて頂いたり、2次会にて焼き鳥食ってたり。 ボディタッチ有りの飲み屋に連れて行かれたり、 はたまた、新宿の風俗店にて、順番争いのジャンケンまでしていたのですから…。 「何をやってるんだ俺は…。何を…。」 午前3時。社長の家に泊まらせて頂いた俺はうつらうつら、 「全く、ホントに急展開だよ…。」 携帯電話に届いた、家出少女からのメールを見ながら思っていた。 |
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「ああ、こんにちわ…。」 どんな子だろうと、思わなかった訳じゃ無い。歳は?髪型は?可愛い?細いか??だけれど、形と見てしまうと、俺はそれが壊れてしまうのを恐れる。知ってしまえば、忘れなきゃいけなくなるだろ?その子をってんじゃ無くて、思う俺をさ。 |
| 「体調悪い…。会社には遅れて行くよ…。」酒の飲みすぎか、疲れていたのか…。 社長宅を後にする時には、またベッドに戻ってしまった社長。 量飲めばって訳じゃ無いぜ? 俺は感謝の言葉と微笑を残し、マンションを後にした。 「勝ったな…!」 お勧めの冷やし中華を俺はズルズルと食べ。 少女はチャーハンを「食べきれないカモ。」と言いながらもパクパクと食べていた。 実を言うと、減量中だったので俺も食べきるの、精一杯だったんだよ。 胸いっぱい。だったからかも知れないけどな。 前の彼女から貰った財布を、俺は後輩にあげた。 それ以来3年以上、俺は財布を買っていない。革の名刺入れに、札も入れる様にしている。 必要な物だけれど、それ以上に捨てられない想いがある。 「代わりなんて物は、存在しない。」 5年間つけていた指輪を、俺は仕事帰りに車で仮眠中に失くしてしまっていた。 髪の長さと、大きな指輪。それは俺のささやかな主張の一つ。 どうしても、見つからないその指輪の代わりを、 その少女に選んでもらおうと、渋谷行きの電車に乗った。 選んで貰った俺からも贈った指輪は、淡いシルバー。 芯が太く、それでいて繊細なデザイン。”S”に似た指輪。 お揃いなのは、同じ場所で買ったという事だけだが、 お互いに頑張ろうと想いを込め、贈った指輪だ。 「何が出来るか分かんないけど、俺も頑張るからお前も頑張れ。」 ガンバルって言葉は無理させるみたいで、好きじゃ無いんだけどな。 だからこそ、安らげる事があると思うんだよ。 自分に何が出来るのか。 人に何をしてやれるのか。 人に何を求めてしまうのか。 ただ、それから逃げ出したかっただけの、俺の3日間だったのかも知れない。 人にとって、俺は何として見られるのか。 それに俺は左右される事に、苦しみ。 そして、そう在れる事に嬉しく思う。 結局、俺は何をしたいのかと問われたなら、 望まれた俺で居たいと今なら答えるだろう。 後日、事務所の皆さんには明太子を郵送した。 お礼に丁寧な葉書を頂き、それもまた嬉しく思う。 今度、東京に行った際には、是非、日本酒で勝負だ。 |
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| 終わり | |