ソラノハチ


1匹だけ、
空に高く高く登ってゆく蜂が居る。
花に舞う事を忘れたのか?
空に何を見ているのか?
まだ、蜂は空に羽をばたつかせているままだ。
ただ、蜜を集めていればいいし、
それこそが、彼に与えられた理由だと思う。
そうする事が、彼は蜂で居られる理由
花にあるべき存在。
僕らの言う、それが当たり前の姿。

空には、強い風が吹き、
その羽を休める時には、ただ落ちてゆくのだろう。
幸運にも、花の葉に落ちるのか?
それとも、海の波に浮かぶのか…?
どのみち、彼は”ソラノハチ”でも無くなるのだろう。
花に舞う事に、彼は幸せと言えるか?
自分の姿を空に求め、
蜂である事に疑問を知った彼は、
一瞬の興味に、青空を見上げ続けた。
蜂である事を止め、
そして、ソラノハチで在り続ける彼は、
幸せと言えるのだろうか…?

生きなければ成らない。
与えられる事も有る。
見えているだけの全てに左右されるけど、
やがて、空に消えて行った彼は、
それから逃げ出しただけかも知れないな。

”ソラノハチ”
自分に、自分だけの姿を求めてしまった、
何の理由も無い存在。
彼は蜂とだけ、見られる事を嫌う。
ソラノハチ、空に向かう蜂。